内山 博の基地ミニ講座



2007/02/03
イージス艦ステザムの目的について

執筆者: 旅システム (6:54 pm)
 今回のイージス艦ステザムの入港について、中川匡史さんから寄稿がありました。
 非常にタイムリーな話題なのでここでご紹介させていただきます。

 付け加えさせていただくと、目的5の「安保条約に基づき」「地位協定に基づき」これは安保条約の5条6条にあたります。安保条約は、日本と極東の範囲で有事があれば、日本を守るという項目です。
しかし、日本海と太平洋で配備されているイージス艦のBMDは、米政府が公言するように米国本土を守るための配置です。
これは安保条約に違反しています。違反を知りながら日本の港に入港させることは許すことはできないですね!
(内山博)





イージス艦ステザムの目的について




 石狩湾新港へのステザム入港について、米側は「親善と友好」をあげています。しかし、それを言葉通りに受けとる人は誰一人いないでしょう。北海道新聞の1月29日刊で、本当の来航目的を記事にしています。しかし、それだけとも思えない部分があります。いま分かる範囲で、真の目的を推測してみます。
目的1 石狩湾新港の調査
 昨年12月、新港西埠頭に14m水深のバースと多目的国際ターミナルが完成し供用が始まりました。この使い勝手を調査します。これは、小樽港では、過去度々水深の深いバースができるたびに繰り返されたことです。
目的2 新型のSM-3装備のテスト
 北朝鮮の核開発・ミサイル実験が昨年繰り返されました。アメリカは、大陸間弾道ミサイルを高空で打ち落とせるという評判のSM−3システムを開発。昨年11月から、動く物体を正確に捕捉するイージスシステムを搭載する戦艦に換装し始めています。ステザムは12月、米太平洋艦隊の中で、2番目に換装を終えました。
目的3 日本の非核3原則の無力化
 その船が、核兵器を積んでいるかいないかはその船に聞けばすぐに分かることです。しかし米海軍と外務省は結託して、「アメリカから外務省に通知がなければ、積んでいない」ということにしようとしています。
 裸の王様の現代版のような話です。
目的4 日米共同訓練への参加
 日米共同指揮所演習「ヤマサクラ」が、例年1月末〜2月中旬の期間行われます。ことしも2月8日から行われます。通常、指揮所演習は参加者が1つの体育館にあつまって「○○ごっこ」というロールプレイングをするものと説明されています。しかし現実には全国各地の米軍、自衛隊と通信のやりとりが行われ、実質的な「戦争シミュレーション」です。
 その上、直前の1月28日〜2月8日には、キーンエッジという日米共同演習も今年はあります。多分そのためでしょう。2月3日から自衛艦3隻が苫小牧西港に入港します。
 それだけでも充分なのに、航空自衛隊・海上自衛隊の大演習が2月に計画されています。北海道・東北の東側・西側両面の広大な海域です。しかも米軍が部分的に参加します。それは、ステザムが新港を出発した直後のスケジュールです。
目的5 なし崩し日米同盟
 政府や自治体、そして米軍はしばしば「安保条約に基づき…」「地位協定に基づき…」、「嫌だけれど受け入れやむなし」という云い方をします。しかし、これは真っ赤なウソです。
 日米安保の適応範囲はフィリピンまでですので、中東(イラク・アフガニスタン)を主戦場とする横須賀第7艦隊の船を民間港が受け入れる理由はありません。
目的6 BMD行動の補給港をねらって
 いまアメリカは、米本土を狙う北朝鮮の核ミサイルを、奥尻の上空で撃ちおとそうと、北海道西方の海域で警戒態勢をひいています。3週間ごとに交代しながら7隻の横須賀の駆逐艦がその任に当たっています。そこで、手近に補給港を……と言うわけです。
 しかし、8月にハワイ島で行われた撃墜実験の成功率は8発中3発。しかも、実験ですから、事前に発射自国も時間軌道がわかっていての数字です。アメリカは、いざというときには日本を狙うミサイルも引き受ける、といっていますが……。
目的7 市民のあきらめを誘う
 2度3度、しかもほぼ定期的に入港を繰り返すことで、あきらめの感情を誘う。軍事用語で「馴化」という方法がとられています。
 何度強行されても駄目なものはダメ、というしかありません。もし日本が戦争に巻き込まれたとき、一番最初に攻撃されるのは在日米軍の基地や施設、そして艦艇のある場所なのですから。

解決策は? 声をあげること、そして……
 神戸港は、入港を希望する艦船に直接「非核証明書」の提出をもとめる方式で、30数年間米艦の入港を拒んでいます。また苫小牧市は、鳥越市長時代の8年、非核条例による4年と12年間、米艦の入港がありません。
 小樽市も「非核条例」をきめることで米艦入港を拒否することができます。これは石狩市も、北海道も……。
 共産党小樽市議団の「非核条例制定」の請願は、次の議会で26回目を数えます。
(寄稿:中川匡史)

ステザム公式サイト、googleEarthから
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