企業戦士として24時間働いていた生活から早20年。今は81歳のがん患者になった私にとって、一番の楽しみは旅システムさんの企画「平和と文化を学ぶ旅」。今回は11月23~24日の日程で「ナウマン温泉に泊まる、十勝の生産者との交流と食の旅」です。暖気が続いた札幌から、マイナス3度予報の帯広へ行くのです。真冬の服装を脱いだバスの中で「国道36号線の両側は、矢臼別に次ぐ日本最大の自衛隊の訓練基地です。頭上にかかっている橋は、戦車専用」~内山社長の解説から始まった旅は、高速を走り続けつつ、トイレタイムをしっかり確保した安心の旅。
最初に着いた八千代畜産加工研修センターで昼食・・・その前に職員さんの案内でチーズ工場を見学。孫がもう少し大きくなったら皆んなで泊り込みでチーズやソーセージ教室を体験したいと思いました。
センターは乳量の落ちた牛を、酪農家から多数預かり、再び妊娠・出産するまで健康管理する育成牧場です。センター内レストランでは、6種類もの肉料理に目を回しました。
気温が下がりはじめた好天下、大樹町に向かう途中、広い畑になんと丹頂鶴のカップルが!バスが止まってくれて、皆さん歓声を上げて写真をとりまくりました。
宇宙実験場の巨大な建物を外からながめ、親切な職員さんにどうぞどうぞと言われてトイレを借りて、いよいよ上浜大樹自衛隊揚陸場へ。軍用車両の輪だちが残る浜を歩いてから、旭浜のトーチカ跡へ。海岸にあるトーチカは、とても頑丈に造られていますが、中はとてもせまく、特に冬に向かう太平洋の荒波に洗われて傾いているトーチカは、恐ろしくも、もの悲しく見えました。
虫類にある十勝ナウマン温泉ホテルアルコの夕食は、そろそろ腹がきつくなってから、やはり地元名物の(ミニ)豚丼が・・・。私にとってはとてもミニとは言えない量の肉がてんこ盛り、でも気がついたらお腹の中に・・・あまりの総カロリー量に、デザートは、隣の人にあげることにしました、残念。
2日目の朝は、ホテルのすぐそばに在る「ナウマン象記念館」の見学から。発掘の歴史展示と動画の中に、懐かしい北大の松井愈先生がー。世界の新旧象の実物大比較では、絵本などでとても大きく感じていたナウマン象やマンモスよりも、現代のアフリカ象が一番大きいということを、初めて知りました。
半田ファームでヨーグルトとチーズのお土産をいただき、源ファームで昼食。ホエー豚の豚丼の量と味に、又々目が回りそうになりました。半田ファームは自分たちで収穫している牧草の名で、オーチャード、チモシー、ルーサンとチーズの名前をつけています。ヨーグルトのおいしさは言葉で表せない程です。40年前、個人の工房は10軒から始まり、今全国で330軒、中、半分は道内の人達で、北海道の「自然菌」はヨーロッパをしのぐ味を実現。しかし今、資材費と飼料の高騰で大変になっている。母乳生産の為に出産させて、貴重な収入源だった子牛も、育てるエサ代の値上がりで、タダでも引き取ってもらえないのが現状。御主人は「40年前に戻った気持ちで今を生き抜きたい。又来て下さい」と話されました。
源ファームのケンボロー・ホエー豚とは、イギリス原産のクンボロー種。日本には6%しかいない希少な豚。ホエー豚として出荷できるには期間内に50ℓ以上のホエーを与えること。特に100ℓ以上与えた豚は最上級の「マスター」ブランドになる。源ファームは110ℓを与えている。一般の豚肉とは真逆で、脂身がおいしく、健康に良いという特別な肉。
帰りの出発点、道の駅の併設、「おとふけなつぞらのふる里」で毎日涙目で視聴していた、朝ドラ100作目のスタッフ・キャストの皆さんと“再会”できました。懐かしさいっぱいの思い出を抱えて、ドシャ降りの中を帰ってきたら、札幌は晴天。
ありがとう十勝の皆さん、又お会いできる日が楽しみです。
そして旅システムの皆さん、ありがとう。お疲れ様でした。
札幌市 伊藤 功